裁判員制度は、2009年から始まった、一般の国民が司法に参加する制度です。
裁判員裁判では、ランダムに選ばれた一般市民が【裁判員】として裁判に参加します。プロの裁判官3人と市民から選ばれた裁判員6人の合議で判決を下します。
制度導入にあたっては、裁判で下される判決をより市民感覚に近づけよう、あるいは裁判をより迅速に進めようという狙いがありました。
裁判員が参加するのは、刑事裁判です。分かりやすく言えば、警察が捕まえた犯人を検察が起訴(裁判に訴えること)して、有罪か無罪かを決めるものです。
基本的には裁判官3人と裁判員6人の計9人の多数決で判決が下ります。
例えば。
●…無罪 ●…有罪 を主張。
裁判官 裁判員
●●● ●●●●●● 無罪5 有罪4
➡ 無罪。
裁判官 裁判員
●●● ●●●●●● 無罪4 有罪5
➡ 有罪。
ただし、多数決で「有罪」が多い場合でも、裁判官が有罪を主張していなければ「無罪」となります。
裁判官 裁判員
●●● ●●●●●● 無罪3 有罪6
➡ これは無罪。裁判官が一人も有罪を主張していません。
裁判官 裁判員
●●● ●●●●●● 無罪4 有罪5
➡ これも無罪。
裁判官 裁判員
●●● ●●●●●● 無罪4 有罪5
➡ これは有罪。裁判官の一人が有罪を主張しています。
つまり、有罪の判決を下すには多数決に加え、プロの裁判官が一人は必ず有罪を主張していなければならない、というルールです。
たしかにプロが全員無罪を主張しているのに、一般の人が多数決で有罪と判断してそれが通ってしまうというのは、少し怖いというか、市民側の責任が重くなるように思えます。
ちなみに、裁判員が参加できるのは第一審だけです。判決が気に入らなかった場合、あと2回裁判のやり直しを求めることができますが(控訴 ➡ 上告といいます)、第二審、第三審はプロの裁判官のみの裁判になります。
さて、次の場合は判決はどうなるでしょうか。
裁判官 裁判員
●●● ●●●●●● 無罪6 有罪3
制度の是非とともに、考えてみてください。
ニシダ